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おせっかいな旧友が、「そっちに用があるから」と言って、どこから仕入れるのかほしくない情報を持ってこちらに遊びに来た頃には、もう直弥君と会うことはなかった。 二人でファミレスに入り注文を終えると、涼花は「直弥に最近彼女ができた」という話をしてきた。 「やっぱり前に見た女だったよ」 「情報が早いなぁ」 田舎は他人の話が好きだし、他人の話くらいしか面白い話題もない。 「佳奈たち付き合ってたんじゃなかったの?」 「ううん」 「そうだったんだ」 「うん……、そこまでうまくいかなかった、かな」 本音で言えば、相手のことを知っている涼花に全て吐き出してしまいたかったのだが、最終的に「都合のいい女」で終わった自分を披露するのは、この田舎の情報網でどうやって拡散するかわからなくて恐ろしかったので曖昧にしておいた。 それにしても、自分と彼の間に何もなかったような言い方しかできないのは、自分で自分をみじめにさせた。彼の中でも私は“付き合った彼女”の数に入らないことになるのだろうか。 「いい感じに見えたんだけどなあ」 涼花は残念そうに天を仰いだ。 「私が?」 「うーん。佳奈はいいの? どうもしないの?」 何もかも終わったあとだったので、その質問は意味がなかった。 周りには良さそうに見えていても、直弥君にとって私は空っぽにだった。 自分としては、どうしたいでもなく、そのときの感情に任せてみた結果なのだが、その結果は、彼の情熱に応えることはできず、失望させ、さらには、自分自身へも嫌悪感を募らせただけだった。 じゃあ私は、どうすればよかったのか。 その年の夏はとうに終わり、自己嫌悪を引きずりながら、秋になっていた。
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