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時間が傷を癒してくれるかと思いきや、忘れかけた頃にふいに“都合のいい女”の記憶を鮮明に思い出してしまって自己嫌悪になった。 こういうとき、今までどうやって過ごしていたんだろう。 それに匹敵するような人生の出来事はなかったが、一年前はいつも幼馴染が隣にいて、一人ではなかったことを思い出した。色々あってすっかり忘れていたが、忘れていたことにも自分自身驚いた。 その幼馴染に、急に何か伝えたくなりスマホを手に取るのだが、結局何を伝えればいいのかわからなくて、何もできなかった。 そんなことを繰り返しながら、毎日が過ぎていった。 「透君も帰ってきてるみたいよ」 年末年始に実家に帰ったとき、母から知らされたが、久しぶりに聞くその名前に、これでもかというほど心臓が跳ねた。 会いたくない。 うっかり顔なんか合わせないようにしないと。 はっきりそう思った。 私の願いは無事聞き届けられ、連絡も会うこともなく冬は終わった。
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