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「いってるよ」
何を話せばいいのだろう。
一年もあわなかったから知りたいことは沢山あるはずだ。なのに話題が出てこない。そんなだから、別に聞きたくないような話題をしてしまう。
彼女とうまくいってるかどうかなんて、そんなことが聞きたいんじゃない。
「お前だって直弥はどうなってんだよ」
え?
「◯◯祭りに行くとか言ってただろ」
聞き違いかと思った。まさか直弥君の話が出てくるとは。
しかも、そんなことを話したのを覚えているとは。
話したくもなければ、思い出したくもない。
「うん、どうだろうね」
「なんだよそれ」
「知りたい?」
「別にどうでもいいけど」
話したくないので曖昧にぼかして答えたら、イラっとしたのがわかった。
それはどういう態度なんだろう。
ああ……でも、そうか。その態度見覚えがある。
あれから時間がたった。色々あった。私だって変わる。
どうしてそんな態度をするの? 透にそんな権利ある?
私は、少し前涼花に会ったときに一方的に聞かされた直弥君の話をした。
「透は知らないもんね」
「何が?」
「直弥くんね、彼女いるんだよ。しかもその彼女、旦那さんがいるんだって」
「は?」
「周りの人たちはみんな知ってるんだけどね。狭い世界だからね。バレバレなの。でもみんな知らん振りしてるんだって。すごいよね、しかも、って」
本当かどうか詳しいことは知らない。涼花の受け売りだ。
透は驚いたあと、心配そうな顔を私に向けた。
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