1人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
いつもの丘の上。リラは1人で横笛を奏でる。
最近スリフは忙しい。
昔、スリフがこの丘で横笛を奏でているのを聞いて、王の笛に憧れていたリラは思わずスリフに笛を教えて欲しいと頼んだ。
スリフは喜んで受け入れてくれ、それからは晴れている日はほぼ毎日のように横笛を教わっていた。
それがここ最近、特に3ヶ月前の火の国の事件以降は週に1回程になっている。
スリフには他国にも知り合いがいるらしく、魔者の影響で逃げて来た彼らと話しているのを何度か見かけた。
目を閉じ、スリフの教えを思い出しながら一曲奏で終える。
目を開けると直ぐそばにゲノルがいて、驚きのあまり座っていた丸太のベンチからずり落ちた。
「大丈夫か?」
「な、何でまたあんたがいるのよ!」
ゲノルが起こすのを助けようと手を出してくるが、リラは警戒して身構える。
「今日は暇だったから街を散策してたんだが、笛の音が聞こえたんで来てみた。俺、笛の音聞くの初めてだったんだけど、笛ってこんなにスゲェんだな」
最初のコメントを投稿しよう!