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いつもの見下した感じはなく、本当に感心している様子にリラは警戒を緩める。
「私なんて大した事ないわ。王はもちろん、スリフはもっと凄い」
「ああ、風の国王の笛は噂話で聞いた事がある。あの美女も上手いのか。まぁ、俺からしたらリラも十分凄いと思うけどな」
屈託のない笑顔で誉められた上に名前まで呼ばれて、リラの心臓がドキリと跳ねる。
「なぁ、もう一曲吹いてよ」
「い、嫌よ!」
「いいじゃん。減るもんじゃないだろ?」
「減る!私の気力が減る!」
「気力って何だそれ」
ゲノルは楽しそうに笑ったかと思うと、「な、お願いだよ。リラ」と真剣な目でリラを見つめる。
リラはその視線を受け止めきれず逃げ出した。
身体は異常なほど熱くて、「何なのよ、アイツ!」と叫ぶことしかできなかった。
とにかく、リンソン王子だけではなく、ゲノルも避けようと心に決めたのも束の間、翌日には2人揃って現れた。
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