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「大丈夫だったか?お前身体軽すぎだろ。あんな飛ぶと思わなかった」
「何ですか、その言いぐさは!蹴っておいて謝りもしないで」
スリフは憤りのあまりゲノルに詰め寄り、リラはその剣幕に言葉も出ないが、やはりゲノルは飄々としていた。
「そうだな。悪かった。で、怪我は?」
「ない」
「ん、よかった」
顔を覗きこまれるように見つめられて、リラはそっけなく一言で返す。だが、ゲノルはその一言に満足そうな笑みを広げた。
「まぁ、これで王子さんも俺を連れてお前らに会いに行く事はなくなるだろ。継承の儀やらで元々そんな時間は無くなりそうな雰囲気だったけど」
「それが目的で私の事蹴ったの?」
「俺が一緒じゃなければ、お前らもう少し生きやすくなるんだろ?」
「だからって、なんて雑なの!ちょっと強いからって力任せで何でも通そうとして!」
サラサラの髪の毛をブンブンと横に振って取り乱すスリフ。ゲノルは呆れたようにため息をつく。
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