紫陽花

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だから、授業が終わるとさっさと教室を出て、 いつも行く図書館に向かう。 ここは静かで、 僕のお気に入りの場所だ。 ここでもやはり隅っこに場所を取り、 好きな本を選んで読む。 僕は本を読むことが好きだ。 その世界に入り込むことが出来た。 こんなみすぼらしい僕のことを、 忘れられる時間があった。 夢見るような時間・・・ 授業と授業の間には、 僕はいつもここで過ごした。 僕の秘密の僕だけの居心地のいい場所だった。 突然視界が真っ暗になった。 人の手だ! びくんと体が揺れる。 「やっぱりここに居た、探したんだよ。」 両手を離しながら僕の目を見つめる彼。 さっきの・・・綺麗な彼・・・ さっさと隣の椅子に腰掛け、 話しかけてくる。 「いつもここで勉強してるの?」 もう・・・本当に嫌気が差す。 顔にも露わになっていただろう。 「ああ、本を読んでいたんだね。」 それにも関わらず明るい顔を崩さない。 「なんでここに?放って置いて欲しいって言ったよね。」 不思議と飴は必要無かった。 お気に入りの場所に居るせいだろうか。 「僕、島遥香。君の名前は?」 「僕の言ったこと分からないの?」
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