82人が本棚に入れています
本棚に追加
だから、授業が終わるとさっさと教室を出て、
いつも行く図書館に向かう。
ここは静かで、
僕のお気に入りの場所だ。
ここでもやはり隅っこに場所を取り、
好きな本を選んで読む。
僕は本を読むことが好きだ。
その世界に入り込むことが出来た。
こんなみすぼらしい僕のことを、
忘れられる時間があった。
夢見るような時間・・・
授業と授業の間には、
僕はいつもここで過ごした。
僕の秘密の僕だけの居心地のいい場所だった。
突然視界が真っ暗になった。
人の手だ!
びくんと体が揺れる。
「やっぱりここに居た、探したんだよ。」
両手を離しながら僕の目を見つめる彼。
さっきの・・・綺麗な彼・・・
さっさと隣の椅子に腰掛け、
話しかけてくる。
「いつもここで勉強してるの?」
もう・・・本当に嫌気が差す。
顔にも露わになっていただろう。
「ああ、本を読んでいたんだね。」
それにも関わらず明るい顔を崩さない。
「なんでここに?放って置いて欲しいって言ったよね。」
不思議と飴は必要無かった。
お気に入りの場所に居るせいだろうか。
「僕、島遥香。君の名前は?」
「僕の言ったこと分からないの?」
最初のコメントを投稿しよう!