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翌日から僕は、
電車の時間を30分早めた。
彼に会わないために・・・
誰も僕に気付かないように・・・
ホームに行くと、
なんと彼が、
彼が居た。
こちらに気付いて、
駆け足で駆け寄ってくる。
「なんで・・・?」
一瞬何が起こったのか分からなかった。
「やっぱりね〜、時間ずらすと思って、朝早くからここで待ってた。」
にこにこと笑う綺麗な彼、
僕とはまるで正反対の・・・
「俺はね、君と友達になりたいんだ。それから、電車の中の君を護りたいんだ、いいでしょう?それくらい。」
僕を・・・
護る?
なんでそんなことを考えたのか・・・
理由が分からない。
「余計な・・・お、お世話だ・・・」
やっと声を絞り出す。
きっと真っ赤になっていたと思う。
「俺、君のそういう顔、放って置けないんだ。」
言葉に真剣な意味が込められる。
真剣な瞳がこちらをのぞいていた。
こんな時、
僕にはどう対処したらいいのか、
分からない。
突き放せばいいのか、
それとも、
甘えても・・・
甘えてもいいものか・・・
素直にありがとうも言えない僕を、
彼は真摯に見つめて。
「電車、怖いんでしょ、俺がこれから君を護るから。ずっと俺の傍を離れないで。」
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