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今までにない高揚感を感じた。
彼は、もしかして、
僕の大切な人になるのでは?
・・・
いや・・・
期待してはいけない。
今までも、
そうやって失敗してきたんだから。
今回も、
本当の僕を知ったら、
きっと去って行く。
そう心に暗示をかけた。
「俺・・・これから出来るだけ君と一緒に居るよ。お昼も一緒に食べよう。」
にっこりと微笑むその笑顔が、
とても魅力的で・・・
僕はこくりとうなづいていた。
「やった!もっと仲良くなれるね!」
彼はよほど嬉しいらしくガッツポーズと、
煌めく笑顔を見せた。
「じゃあ、あとで。」
そう言って彼は僕を置き去りにした。
いつもの仲間達の中に入っていく。
そうだ、
彼には僕のような暗い惨めな人間じゃなく、
普通の仲間が居る。
僕は期待してはいけない。
僕はいつもの簿記の授業に向かう。
例の先生と顔を合わせず、
視線も合わせず済むように祈りながら・・・
護られてる自分って、
なんなんだろう。
そんなに僕は哀れに見えるの?
そんなに僕は惨めに見えるの?
そんな卑屈な考えが僕の思考を埋める。
彼の真意が掴めない・・・
でも、
彼と居ると心地よかった。
それだけは本当だ。
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