紫陽花

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紫陽花、 梅雨の時期に咲き誇る可愛い花、 この花を見ると僕は、 ああ今年も梅雨が来たんだな、と感じる。 うっとうしい梅雨だけど、 僕は、 結構好きなんだ。 傘を差して、 一人で居るのを隠すことが出来る。 他人との接触を避けることが出来る。 傘一本で、 周りの視界が変わって見えるんだ。 僕は、 ただ一人、 友達は居ない。 彼女ももちろん居ない。 19歳、 大学生。 なにか目的があってこの大学に入ったのでは無く、 僕の入れる大学がここしか無かったってだけのこと。 働くことも視野に入れたけど、 今の僕には難しかった。 働くってことは、 人との関わりを持つこと。 今の僕にはそれは無理だ。 一人が心地いい。 誰にも侵されない僕だけの空間。 親は、 そんな僕を疎み、 一人暮らしをさせてくれた。 だから僕は、 いつも一人で居られたんだ。 女の子には興味は無い。 かといって男に興味があるわけじゃない。 誰にも興味が持てない。 誰とも関わりたく無い。 ひっそりと、 一人、 夜空に浮かぶ月のように、 静かに生きていたい。 僕は夜空の月を見るのが好きだった。 月は、 まるで僕のようで、 僕は毎晩、 カフェインレスのコーヒーを飲みながら、 月を眺めた。
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