キスの意味

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僕はキスの余韻に浸っていた。 そんな僕を見つめる彼・・・ 「恋人のキスだよ・・・」 僕はハッとして目を開けた。 彼の温かい顔が目の前にある。 うそだ・・・ 恋人だなんて・・・ そんなの・・・ 僕の心臓は早鐘のように鳴る。 「なぁんてね、ドキドキした?」 「冗談。でも気持ち良かったでしょ?俺も気持ち良かった。」 彼の言葉に一喜一憂する僕。 恋人・・・では無いよね。 そう、 僕は思い上がってはいけない。 彼の一番に、 なれるはずがない。 「誰にでも・・・こういうことをするの・・・?」 僕は赤い顔を隠すように俯いた。 「まさか。」 「好きな人にしかしない。特別なキスだよ。俺要のこと大好き。」 彼は僕の顔を上げさせ、 真剣な面持ちで僕を見つめる。 でも・・・ でも僕は君の一番じゃないんでしょ? 彼は普通の、 ごく普通の大学生で、 女子にとても人気のある男性で、 普通に恋愛するんだろう。 僕の心はちりちりと焼けるように痛んだ。 欲張ってはダメだ・・・ 僕は、 僕は自覚してしまった。 彼に恋していると・・・ 恋愛に興味は無かった。 でも彼は、 僕に優しくしてくれ護ってくれ、 恋人のようなキスをしてくれた。 それだけでもう、 僕の心を動かすには十分だった。
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