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大学の講内にやっと着く。
さっきの彼は、
僕が落ち着いて来たのを見ると、
「じゃあ、お大事に。」
と言って去った。
僕は、明日から電車の時間を変えなくては、
と思った。
もう会いたくは無い。
僕に興味を持つ者、
僕は人を避けたいんだ。
傘を差して校舎に近づく。
ああ、
ここにも紫陽花が咲いている。
僕の好きな紫陽花、
少し心が癒される。
僕は校舎内に入ると傘をたたんだ。
たくさんの学生達、
行き交う挨拶の言葉。
でも僕は、
僕に声を掛ける者は居ない。
僕は皆から「存在しない者」として扱われている。
「変わり者」とか「不気味」とか、
そういった言葉を僕に浴びせかける者も居た。
でも僕は別に気にも留めずに、
そうしている内に僕は「存在しない者」となった。
誰も僕に話しかけない、
目を合わそうとしない。
僕は何故大学にこうして通っているのだろう?
何のために?
考えると吐き気がする。
僕も社会に出て働かなければいけないのだろう。
僕にそれが出来るだろうか。
ただただ僕は、
それが出来るようになるために、
そのためだけに、
大学に通っているのだと思う。
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