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「放って置いて欲しいって言ってるでしょ。向こうに行って。」
僕は冷たく突き放した。
彼の方も見ず下を向いたまま冷たく・・・
「冷たいなぁ・・・取り付く島も無いね。」
ふぅ、と溜息をつき、立ち上がった。
「島、何してんだよ、教室違うだろ。先行ってるぞ。」
数人の男女のグループの一人が彼に向かって言った。
「ああ、今行く。」
彼は明るく応えて、
「じゃあ・・・またね。」
そう言い残したまま、仲間の元に戻った。
またね?・・・
またってどういうつもりだろう。
明日から電車の時間も変える。
もちろん帰りの電車の時間もだ。
極力誰にも会わないように・・・
僕は一応、
将来公務員になるために勉強していた。
だから、簿記会計の資格を取ろうと頑張っていた。
これだけは、
頑張らないと。
資格が無いと、
僕なんてこんな性格の人間を、
好んで雇おうなんていう人は少ない。
いや、居ないだろう。
だから資格を取っておけば・・・
少しはチャンスがあると思えた。
僕は本当は、
早く自立したかったんだ。
今の生活は、
親の仕送りでやりくりしている。
僕の性質を一応分かっている親は、
僕になるべく関わらないで済むように、
僕を一人暮らしさせ、
食うに困らない程度の仕送りをしてくる。
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