働くということ

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「でも、帰ってくれば要が居ると思うと頑張れる。」 彼がニコニコした顔で言う。 その顔を見て頬が熱くなる。 なんでそんなに眩しいの? 美しいの? 僕なんかにはもったいない・・・ 本当にそう思う・・・ 「要、ここ。」 彼はソファに座り、 自分の膝を指し示す。 僕はもう顔が熱くてしょうが無い。 彼の言うとおり、 彼の膝の上に向かい合わせで座る・・・ 彼が僕を抱き締める。 甘い甘い香りがする・・・ 甘美な香りが・・・ それは僕を狂わす香りだった。 キスを交わす。 徐々に深くなっていく・・・ 舌を絡め取られ、 僕は、 息が上がっていく・・・ 変な声も出てくる。 恥ずかしい・・・ 「もっと聞かせて、要の声・・・」 そんなの・・・ 悪趣味だよ・・・ それでも、 叶えたいと思ってしまう。 胸の突起をつままれ、 僕の思考は破壊されていく。 もう彼しか感じられない。 声が知らずに零れた。 思いが溢れ出す。 彼が好きだ・・・ こんな感情、 僕は知らなかった。 「寂しかった?・・・」 彼がキスの合間に囁く。 「うん・・・寂しかった・・・」 僕は正直に白状する。 すると彼は僕を、 もっともっときつく抱き締める。 ああ・・・ 幸せだ・・・ でも・・・ それとともに僕は、 不安も感じていた。 いつか・・・ いつか彼に飽きられるかも・・・ 男より女の方がいいに決まってる。 僕はいつも不安を抱えていた・・・
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