働くということ

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僕がもっともっとと懇願するようになり、 彼を困らせているんじゃないか・・・ そんなことも考えるようになっていた。 もちろん彼は、 僕が望んだ通り、 与えてくれる。 でも、 いつか飽きられたら?・・・ 僕より女性の方を選んだら?・・・ そんな思考が頭の中を巡った。 僕はその時のために、 準備を始めた・・・ 彼から少し距離を置く。 「要?どしたの?」 彼の膝から立ち上がり、 「今日、肉じゃが作ってみたんだ。」 僕は彼に料理を教えて貰い、 ある程度のものなら、 作れるようになっていた。 「わ〜〜、嬉しい。お腹減った。」 彼は嬉しそうに、 また僕を抱く。 僕はパッと離れて、 食事の用意に取りかかった。 僕が作った肉じゃがを、 美味しそうに食べる遥香・・・ 僕は幸せだった。 もし彼が女性を選んだら・・・ その時は、 親友でもいい。 彼の傍に居られたら、 それでいい・・・ 僕は感情をコントロールするすべを、 自然に身につけた。 でもそれは、 彼を不安にしたようで・・・ 「どうしたの?最近の要、変だよ。」 「変じゃないよ。これが僕だよ?」 「だって・・・時々冷たい・・・」 敏感に気付いた彼。 僕は何も言えない・・・ 彼が僕の瞳を見つめる。
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