29人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
犯罪に加担していない一般市民にとっては、これはありがたいシステムのはずだった。
最近の僕は、薄暗い部屋に閉じこもり、ハリウッドのSF映画の様に、自分のデータを全て消去したいと、そんなことばかり考えている。
いっその事、吸血鬼が鏡に映らないように、僕もカメラに映らない体質だったら……そんなバカなことばかり考えながら、社会からどんどんと引き剥がされていくのを、ただじっと耐えるしかなかった。
ひと月ほど前、恐ろしく暑かったあの日に、僕は迂闊にも電車の中で、うたた寝をしてしまったのだ。
中年男が汗だくで、口を開け寝ている姿は、確かに頂けないと思う。
最初のコメントを投稿しよう!