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少ししゅんとしていると、涼介が額つついてきた。
「わっ! いたぁ」
額を両手で押さえて涼介を睨むと、涼介はふっと笑った。
「一応それ、約束の印だから」
そう言って私の首元を指さす。
「えっ」
さっきもらったネックレスを思わず触る。
「わぁ、可愛いネックレス。えっ約束って何?」
奈央が興味しんしんで私と涼介を見比べた。
「何って、将来のだけど?」
「将来って……」
それって、もしかして。
私が赤くなっていると、奈央が声をあげた。
「えっ! 結婚ってこと?」
きゃあと騒ぐ奈央を、少し睨んで、涼介は黙ったまま空港の出口に向かって歩き出した。
「城屋くん! 詳しく教えて!」
奈央が涼介を走っておいかけるのを、私はぼうっと眺めていた。
「け、結婚……?」
顔が一気に熱くなる。
ずっと一緒だった涼介と、将来も一緒にいれるとしたら、こんなに幸せなことはない。
涼介の隣でなら、きっと私は自信をもって、これからも私らしくいられる。
ネックレスを持ち上げると小さな青い石がきらりと光っていた。
隣に住む正反対の兄弟。
そのうちの、無愛想な弟が私の好きで大切な人。これからもずっと。
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