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「千里、何してんの。遅れるよ」 先を歩いていた涼介が振り返り、立ち止まった。考え事をしてた私は、涼介にぶつかる。 「いたぁ」 「あーもう、ネクタイずれてるぞ」 涼介の手が、私の首に触れた。 「いいってばー」 くすぐったくて、その手を振り払おうとすると、涼介は片手でそれを抑えながら、もう片方の手でネクタイをきゅっと締め直してくれた。 「これでおっけー」 「子ども扱いしないでよ」 私が怒ると、涼介はにやっと笑った。いつも涼介はこうだ。私のこと気に入らないならほっとけばいいのに、何かと気にかけてくる。私はため息をつきながら、いよいよ学校に足を踏み入れた。
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