27人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
「一年生のみなさん、入学おめでとう」
壇上で、爽にいちゃんが挨拶すると、女子たちが「生徒会長かっこよくない?」「三年生だよね、すてきー」だとかひそひそと声をあげた。
生徒会長の爽にいちゃんはとても目立っている。
――やっぱりかっこいいなぁ。
爽ちゃんは普段よりもきりっとした顔をしていて、大人っぽい感じがする。
少し遠くに行ってしまったみたいで、そんな爽ちゃんに、いつもよりどきどきする。
じっと見つめていたのがばれたのか、爽にいちゃんがふとこちらを見た。あっ、と思った瞬間、少し笑ってくれた。誰にも分からないように、私にだけ。
思わず、照れて頭をふせた。
爽にいちゃんは、私のことどう思ってるんだろう?ただの幼なじみ?妹みたいな存在?それとも……?
次に顔をあげたとき、爽にいちゃんはもうこちらを見ていなかった。それでもやっぱり、爽にいちゃんはかっこよかった。
クラスの誰よりも、学校の誰よりも。
最初のコメントを投稿しよう!