9/13
前へ
/182ページ
次へ
 最近では、放課後も毎日文化祭準備があるようになった。みんなが浮足立ってる雰囲気なのに、一人取り残されたような気分だ。 涼介、本当に私のことが好きなの? 「千里、この予算のことなんだけど」 「あ、うん。えっと、ごめん、何?」  涼介が話しかけてきたのに、ぼうっとしていて聞き逃してしまった。 「なんか、元気ない?」  顔をのぞき込まれる。 近くにある涼介の顔にドキドキして、それをさとられないように顔をそむけた。 「そんなことないけど」 こればっかりは涼介に言えない。だって涼介のことで悩んでいるんだから。 「もしかして、島袋とけんかでもした?」 「えっ、どうして」 「島袋も元気無さそうだから」  涼介、本当に周りのことをよく見てるんだなぁ。感心する。教室の後ろにいる奈央をちらりと見た。奈央はこのところずっと元気がない。 「私とけんかしたわけじゃないけど。確かに元気ないんだよね。理由を教えてくれないし」 「ふうん。謎解きゲームのこと、行き詰ってたらいけないし今度聞いてみるか」
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加