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「うん……、ねぇ涼介。涼介は好きな人のこと、諦めるの?」 「な、なんで今その話」 涼介は焦って、私をひっぱって廊下に出た。 「莉乃ちゃんのこと振っちゃったんでしょ」 聞くと、はあとため息をつく。 「そうだよ。やっぱり好きにはなれそうになかった。早い方がいいでしょ」 「じゃあ、この前言っていた本当に好きだっていう人に、告白しないの」 その好きな人、莉乃ちゃんは私のことだって言うけど。私にはまだ信じられなかった。 「しないよ」 「どうして?」 「どうしてって……」 涼介は私をじっと見つめた。息が止まりそうになる。 「俺が好きな子は、好きな人がいるんだ。その相手に俺は絶対勝てないから、このままでいい」 涼介が好きな子がもし私だとしたら、相手っていうのは爽にいちゃんのこと? 確かに二人は似ていないけど、涼介が勝てないとかそんなことないのに。 「あれ、二人ともこんなところでどうした?」 廊下を爽にいちゃんが進んできた。 絶妙なタイミング。今は正直来てほしくなかったなぁ。 「爽にい……。俺、文化祭準備で忙しいから」 涼介は背を向けて教室に帰って行く。 「あら、おじゃまだったかな」 爽にいちゃんはつぶやいて頭をかいた。私は苦笑いした。
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