27人が本棚に入れています
本棚に追加
「うん……、ねぇ涼介。涼介は好きな人のこと、諦めるの?」
「な、なんで今その話」
涼介は焦って、私をひっぱって廊下に出た。
「莉乃ちゃんのこと振っちゃったんでしょ」
聞くと、はあとため息をつく。
「そうだよ。やっぱり好きにはなれそうになかった。早い方がいいでしょ」
「じゃあ、この前言っていた本当に好きだっていう人に、告白しないの」
その好きな人、莉乃ちゃんは私のことだって言うけど。私にはまだ信じられなかった。
「しないよ」
「どうして?」
「どうしてって……」
涼介は私をじっと見つめた。息が止まりそうになる。
「俺が好きな子は、好きな人がいるんだ。その相手に俺は絶対勝てないから、このままでいい」
涼介が好きな子がもし私だとしたら、相手っていうのは爽にいちゃんのこと?
確かに二人は似ていないけど、涼介が勝てないとかそんなことないのに。
「あれ、二人ともこんなところでどうした?」
廊下を爽にいちゃんが進んできた。
絶妙なタイミング。今は正直来てほしくなかったなぁ。
「爽にい……。俺、文化祭準備で忙しいから」
涼介は背を向けて教室に帰って行く。
「あら、おじゃまだったかな」
爽にいちゃんはつぶやいて頭をかいた。私は苦笑いした。
最初のコメントを投稿しよう!