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カフェに移動してからも、奈央はしきりに涼介のことを聞いてきた。 「だからー。私たちって本当仲悪いんだってば」 幼なじみって言ってから、奈央はしつこかった。 私と涼介が、実は好き同士なんじゃないかとか、近すぎて好きってことに気がついてないだけじゃないかとか。 奈央って、意外と恋愛話が好きな子なんだな、とこっそりため息をつく。 私が好きな人は、爽にいちゃん。そう言ってしまおうかと考え出したとき、奈央はころっと話題を変えた。 「そういえば、私もかっこいい人、入学式で見つけちゃった」 「え? 誰だれー?」 話題が変わるのにほっとして、前のめりになった。 「そんなに聞きたい? あのね、生徒会長!」 どきりと心臓が打つ。 「え、えぇ。生徒会長? まだ、どんな人なのかも知らないのに」 こんなきれいな子が、爽にいちゃんのこと好きになっちゃうなんて。 奈央はふふんといたずらっぽくほほ笑んだ。 「生徒会長やるくらいだから、人望もあるし頭もいいんでしょ。かっこいいだけじゃないよ」 固まってしまった。この子、よく分かっている。確かに、爽にいちゃんはかっこいいだけじゃない、優しいし、頭もいい。 「生徒会に入ったら、近づけるかなー」 固まっている私を、奈央は気にした様子もなく、どうやって生徒会長と知り合いになるかを楽しそうに話し続けていた。
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