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 涼介に言われた通り、私は奈央を追いかけるために廊下を走りだした。 「開場まであと三十分だからな! それまでに戻れよ」  背中に涼介の声が聞こえた。  違うクラスの教室にも、階段にも、生徒会室にもどこにもいない。靴箱を見ると、奈央のスニーカーがなくなっている。外に行ったのかな?  私も靴を履き替えて、グラウンドに出てみると、奈央は植え込みの陰で泣いていた。 「こんなところにいたの」  声をかけると、奈央は肩をびくりとふるわせた。 「気がついた、よね」  いつもと全然違う、か細い声。 「うん」と私は奈央の肩をそっと抱いた。 「涼介のこと、好きだったんだね」 「へっ?」  すすり泣いていた奈央は、急に涙を止めて変な声を出した。 「誰が誰を好きだってぇ?」  なんかいつもの調子に戻っている。
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