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グラウンドに出ると、三年生やPTAがいくつかの屋台を出していた。
「色々あるな。何か食べる?」
「そうだねぇ。あ、たこ焼き! あれにしようよ」
私が指さすと、涼介がくすくすと笑いだした。
「なによっ」
「いや。色気ないなと思って。もっと普通は、クレープ、とかさ」
見ると、たこ焼きの横にはクレープの屋台が出ていて、カップルでにぎわっている。
そっか、みんな好きな人とはそういうところに並ぶんだ。恥ずかしくなってうつむく。
「ま、千里はそういうところがいいんだけどな」
「そういうところがいいって……」
「千里はそのままがいい。爽にいに合わせて大人になろうとしなくたって、そのままで充分だよ」
そんなこと真剣に言われたら、顔が熱くなる。
「あ、もしかして、だから化粧したとき似合わないって言ったりした?」
「まぁ、化粧したらしたで似合ってたけど。あれは三宅とか、他の人に見られたくなかっただけ」
そう言うと、涼介はさっさとたこ焼き屋の方に行ってしまった。
「ちょ、ちょっと待って」
私は涼介を追いかけた。
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