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涼介は勝手に注文して、たこ焼きを買ってくれた。
「ここで食うか」
人込みをさけて、非常階段の下に座れるスペースを見つけた。文化祭で生徒やお客さんで込み合う中、ここだけは、誰も通らなくて落ち着いていた。
はふはふ言いながらたこ焼きを分け合って食べる。
「爽にいのことだけど」
たこ焼きを食べ終わったところで、涼介が切り出した。
「ちゃんと伝えられた?」
「これから、なんだ」
私は深呼吸した。
「一番大好きな人に、これから気持ちを伝えるの」
じっと涼介の方を見る。
「あのね、私」
もう一度、すう、と息を深く吸った。なんだか、すごく緊張していた。
「何?」
涼介が不思議そうにこちらを見る。
「私、涼介のことが好き」
ばくばくと心臓が打つ。涼介は目を丸くしていた。
「えっ。俺?」
「そうだよ」
恥ずかしくなってきた。頬を手で押さえると、涼介の手がのびてきて、外された。
手をぎゅっと握られる。
「えっと。信じらんないんだけど」
「信じてよ。涼介のこと、大事だって気が付いたんだから」
涼介の顔も、心なしか赤くなっている。握られた手もいつもより熱かった。
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