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あっという間に文化祭は終わって、今日から夏休みに突入した。
私と涼介の関係は、特に変わっていない。ときどき、今までみたいに一緒に登校するくらい。
もう少し、デートとか付き合っているカップルって感じのことをしたいけど、今さら誘うのは恥ずかしかった。
多分、涼介の方も……。
終業式のあとも、涼介とは何も約束はなくて、私は奈央と一緒にぶらぶらしていた。
「えっ、まだ二人で遊びに行ったりしていないんだぁ」
奈央が驚いたように言う。
「うん。なんか誘うのも照れるし。ほら、今までけんかばっかりしてたから……」
「涼介くんからのお誘いもないの?」
「涼介は、自分から誘ったりとかそういうことしなさそう」
「確かに」
「そういえば、奈央はどうだったの。爽にいちゃんと」
「えー、秘密~」
奈央は、相変わらず秘密主義。爽にいちゃんに気持ちが伝わったのかどうかを、未だに教えてくれない。
爽にいちゃんに聞いたって、はぐらかされてしまった。
爽にいちゃんの留学へのは、いよいよ明日だった。私と涼介は、見送りに空港に行くことにしている。これが涼介と夏休みにしている唯一の約束。
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