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 昔のことを思い出してふふっと笑うと、涼介に「何?」と不思議そうな顔をされた。 「私、前に涼介が言ってたこと分かったよ」 「何か俺言ったっけ?」 「うん、好きな人が幸せならそれでいいって話」 「あぁ、あれか」 「涼介、ずっと私の幸せを思ってくれていたんだね。小さいころから」  涼介は黙ったまま、まだ飛行機をながめている。 「俺、千里のこと、あきらめようとしてたんだよ」 「え」 「だって、爽にいには勝てるわけないから。俺と爽にい、兄弟なのに全然似ていないし……」  爽にいちゃんのこと、兄として尊敬している涼介らしい言い方だった。 「でも、千里が俺にも爽にいとは違ういいところがあるって言ってくれたから、あきらめるのやめた」  涼介はにこっと笑った。  普段は無表情の涼介が笑うと、すごく可愛く見える。  貴重な笑顔。  この笑顔を近くで見られるのは私の特権かな?
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