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ついに爽にいちゃんの出発時間が来てしまう。 ゲートをくぐっていく爽にいちゃんを、私たち三人は並んで見送った。 「あーあ、行っちゃった」  奈央が残念そうにつぶやいた。 「奈央、爽にいちゃんに気持ち通じたんだね」 「うん! 私が家に遊びに行った日からいいなって思ってくれていたみたいなの」  あぁ、あの日か。  あの時も、よく考えたら私は大人っぽい奈央に、涼介を取られることの方を心配していた。爽にいちゃんを取られることよりも。 「へぇ、じゃあさ、二人が付き合えたのも私のおかげだねー」  私が奈央の肩をつつくと、 「そのあと生徒会に入って、ちゃんと繋げたのは自分の努力よ」  奈央はえらそうに、ふふんと笑った。いつもの奈央らしい。きっと本当はさみしいのだろうけど、その態度に少し安心する。 「遠距離大丈夫なの?」  涼介が聞くと、奈央は「私も、一年後向こうに行く」とびっくりな宣言をした。 「え、留学するの?」  驚いて聞くと、奈央はにこりと笑った。 「そのつもり、元々興味あったしね」 「すごいなぁ。奈央、将来のことまで、考えているんだね」  私たちは、将来どうなるんだろう。ちらりと涼介の顔を見上げた。 「これからも、私たちはお隣の幼なじみなのかな?」  聞いてみると、涼介は私をじろりと見下ろした。 「俺は卒業までどこにも行くつもりないし、しばらくはこれまで通り一緒だな」  淡々とそう言う。  しばらく、かぁ。じゃあ、卒業後はどうなるか分からないんだな。  もしかしたら、家をお互い出るかもしれない。そうしたらついにお隣じゃなくなっちゃうんだ。  どっちかが県外に進学したりしたら、遠距離になっちゃうかもしれない。
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