10/16

27人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
BBQはとても楽しかった。涼介の家の庭で、みんなで網を囲んでお肉や野菜を焼いていく。 「二人が高校生なんて早いわねぇ」 涼介のお母さん、美紀おばさんがにっこり微笑む。 「そうよね、この前まで爽介くんが高校生だったのに。いつの間にか、その爽介くんが教師で、涼介くんと千里が生徒になってるなんてねぇ」 うちのお母さんも相槌をうつ。側で、お父さん二人はビールで乾杯をはじめている。 「千里、どうしてまだ制服なんだ? 着替えればいいのに」 お父さんがこちらを見て不思議そうに聞いた。 「うーん、せっかくだし」 「この子、着替えないのよぉ。高校生になれたのがよっぽど嬉しいんでしょ」 お母さんは呆れたようにそう言った。涼介のお父さんである仁おじさんが笑う。 「それに比べて、涼介はまったく高校生になった感慨がないよな。いつも通りで」 「俺は別に」 確かに涼介は、買い物から帰って来ると、すぐに部屋に戻ってラフなパーカーにジャージに着替えていた。 あんまり制服に喜んだり、高校入学したことを感慨深く思ったりしていないみたい。冷めたところが、涼介らしかった。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加