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BBQはとても楽しかった。涼介の家の庭で、みんなで網を囲んでお肉や野菜を焼いていく。
「二人が高校生なんて早いわねぇ」
涼介のお母さん、美紀おばさんがにっこり微笑む。
「そうよね、この前まで爽介くんが高校生だったのに。いつの間にか、その爽介くんが教師で、涼介くんと千里が生徒になってるなんてねぇ」
うちのお母さんも相槌をうつ。側で、お父さん二人はビールで乾杯をはじめている。
「千里、どうしてまだ制服なんだ? 着替えればいいのに」
お父さんがこちらを見て不思議そうに聞いた。
「うーん、せっかくだし」
「この子、着替えないのよぉ。高校生になれたのがよっぽど嬉しいんでしょ」
お母さんは呆れたようにそう言った。涼介のお父さんである仁おじさんが笑う。
「それに比べて、涼介はまったく高校生になった感慨がないよな。いつも通りで」
「俺は別に」
確かに涼介は、買い物から帰って来ると、すぐに部屋に戻ってラフなパーカーにジャージに着替えていた。
あんまり制服に喜んだり、高校入学したことを感慨深く思ったりしていないみたい。冷めたところが、涼介らしかった。
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