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「うん、そうだね。授業はじまったら結構大変だと思うけど、面白い行事とかも多いから」
ちょっとだけ生徒会長の顔に戻って、爽にいちゃんは言った。
「はい、これ二人に入学祝い」
赤と青の包みをそれぞれ渡してくれた。
「わぁ、嬉しい! なあに?」
「シャーペンだよ。二人とも色違いのおそろいで、ちょっといいやつなんだ。勉強に使ってね」
絶対大事にしよう。綺麗な包み紙を、胸に抱えた。爽にぃちゃんからのプレゼント、一番うれしい入学祝いだった。涼介とおそろいっていうのがちょっと残念だけど。
「爽介くん、お肉食べるでしょ? 千里、お皿に入れてあげて」
お母さんに言われて、私がお皿を手にしたところで、爽にいちゃんは首をふった。
「すみません、僕これからまた行かなきゃいけないところがあって。顔見せに寄っただけなんです」
「えぇー」
みんなが不満の声をあげる。中でも私が一番大きな声を出してしまった。だって、今日は私が高校生になったお祝いなのに……。
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