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「お、涼介も準備できたか。入学おめでとう」  爽にいちゃんは満面の笑みで涼介の頭を撫でた。 「もう、やめろって」  言葉とは裏腹に、涼介は照れたように笑った。 「だってさぁ、弟が同じ学校なんて嬉しいもん」  爽にいちゃんはにこにこと涼介の顔をのぞき込んでいる。  何よ、いちゃいちゃして。私は心の中で毒づいた。  そう、涼介は、爽にいちゃんの弟なのだ。  性格も顔も全然似ていないのに、特別仲がいい兄弟。うらやましいくらいに。  涼介のその似ていない顔の下には、私と同じ赤いネクタイが絞められている。  涼介も、爽にいちゃんと同じ高校に進学したのだ。別のところにしてくれればいいのに。 爽にいちゃんと一緒にいたいと思えば、嫌いな涼介も自動的について来る。 私の家のすぐ隣の家に、爽にいちゃんと涼介は住んでいる。いわゆる、幼なじみってやつ。  幼なじみといっても、爽にいちゃんは二つ年が離れているから、いつも可愛がってくれたお兄ちゃんって感じ。そして涼介とは、くされ縁のようなもの。
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