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よく考えてみると、涼介は居眠りなんてしない真面目な性格。ソツがないから、ああいう間抜けなこともやらないタイプだ。それなのに、あんなこと珍しい。
「ねぇ、千里は城屋生徒会長知り合いなの? それに幼なじみの涼介くんが弟ってことは」
「あー、実はね」
私は涼介と爽にいちゃんが、似ていない兄弟だってことを説明した。そして、爽にいちゃんも隣に住んでいて小さいころから知り合いだってことも。
「えっ。じゃあ生徒会長とお隣さん? いつでも会えるんだぁ」
奈央は私の腕をつかんで、きゃあと騒ぐ。言えなかったこと、怒っていないみたいでほっとした。
「えっと、まぁ、そういうこと」
「えっ! 早く言ってよー。いいな! 私もお近づきになりたーい」
「お近づきって……」
私は苦笑いをしてごまかした。
奈央のことは好きだけど、爽にいちゃんに近づいてほしくなかった。だって、奈央の方が私より大人びていて、爽にいちゃんと釣り合うような気がしてしまうから。
「ねぇねぇ、今度千里の家に遊びに行かせてよ」
「えっ私の家に?」
「それでお隣の生徒会長にも会えたらいいなーなんて」
ぺろっと奈央は舌を出して笑った。
そういうことになっちゃうよね。断ることもできず、私はあいまいにうなずいた。
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