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 窓から見える向かい合わせの部屋は、涼介の部屋だ。 小さいときはときどき窓辺で話したりもしていたくらいの近さ。 そういえば、最近はもう、そうやって涼介と話していない。昔のことを思い出して、なんだか急にさみしくなった。大人になればなるほど、幼なじみだけど遠くなっていくのかな。 涼介、今日いないのかな。それとも寝てる? カーテンの閉まった涼介の部屋を見て考えた。涼介がどうしてるかなんて、私に関係ないのに。 「今、会長いるのかな。そうだ、勉強教えてくださいって聞きにいくのはどう?」  奈央は楽しそうに提案する。 「……いいよ、行ってみよっか」  どうせ爽にいちゃんは今いないはず。だからいっか。ついでに、涼介がいるか確かめられる。
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