3

11/17
前へ
/182ページ
次へ
「今日美紀おばさんたちいないの?」 「うん。母さんは仕事で、父さんはゴルフ」  涼介は私たちをリビングに通すと、麦茶を出してくれた。そして腕組みをして奈央に聞く。 「で、どこが分からないの」 「へ?」 「だから勉強。俺でも少しは分かるかも」 「だぁめよ。先輩に教えてもらわなきゃ、意味ない!」  奈央は麦茶を一口飲んで答える。 「爽にい、今日は多分帰りが遅いから。自分たちでやるぞ」 「同じ高1同士で教え合っても仕方ないじゃん」 ごねる奈央に、涼介は真面目な顔で返した。 「だけどさ、三人寄ればなんとやらってことわざがあるだろ」 「ことわざって」  くすりと奈央が笑う。 「なんか涼介くんって面白いよねー。授業中居眠りしたり、そうかと思えばことわざーなんて固いこと言ってみたり」  涼介は急に顔を赤くした。 「いや、面白いってなに……」  もごもごと口ごもる。そんな涼介の様子を見ていると、なぜか急に腹が立った。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加