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「今日美紀おばさんたちいないの?」
「うん。母さんは仕事で、父さんはゴルフ」
涼介は私たちをリビングに通すと、麦茶を出してくれた。そして腕組みをして奈央に聞く。
「で、どこが分からないの」
「へ?」
「だから勉強。俺でも少しは分かるかも」
「だぁめよ。先輩に教えてもらわなきゃ、意味ない!」
奈央は麦茶を一口飲んで答える。
「爽にい、今日は多分帰りが遅いから。自分たちでやるぞ」
「同じ高1同士で教え合っても仕方ないじゃん」
ごねる奈央に、涼介は真面目な顔で返した。
「だけどさ、三人寄ればなんとやらってことわざがあるだろ」
「ことわざって」
くすりと奈央が笑う。
「なんか涼介くんって面白いよねー。授業中居眠りしたり、そうかと思えばことわざーなんて固いこと言ってみたり」
涼介は急に顔を赤くした。
「いや、面白いってなに……」
もごもごと口ごもる。そんな涼介の様子を見ていると、なぜか急に腹が立った。
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