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私は二人に割り込むように、爽にいちゃんに話しかけた。
「ねぇ、爽にいちゃん、今日の放課後ね」
すると涼介がそれを邪魔する。
「爽にい、早く行けよ。こんなやつに構ってたら遅刻するぞ」
涼介は、爽にいちゃんの背中をそっと押した。
「ちょっと! 童顔だとか、こんなやつとか。いっつもひどい!」
涼介に向かって私が言うと、爽にいちゃんはくすりと笑った。
「まぁまぁ二人とも。相変わらず、仲いいんだか、悪いんだか」
「仲良くなんてないから!」
涼介と私の二人の声が揃ってしまった。
「真似しないでよ」
私がため息をつきながら言うと、涼介は「はぁ? 千里が真似したんだろ」とそっぽを向いた。
「ごめんね、千里ちゃん」
困ったようにきれいな顔で笑う爽にいちゃんと、目つきの悪い顔でそっぽを向いている涼介。似ていないどころか、正反対だ、この兄弟は。
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