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勉強は爽にいちゃんが帰る前に、結局三人で終わらせてしまったので、私たちは家をあとにすることにした。
「それじゃあ、また学校で。私きっと生徒会入ります」
「あぁ、またな」
爽にいちゃんが玄関まで見送ってくれる。奈央と爽にいちゃんは、ずいぶん気が合ったみたいだ。連れてくるんじゃなかったかな。
扉が閉まってから、奈央は落ち込んでいる私をひじでつついた。
「ねぇ、もしかして。千里って城屋先輩のこと好きなの?」
「う……」
言葉につまる。言おう言おうと思っていたけど、まだ心の準備が。だって、奈央も爽にいちゃんのこと気になっていて、ここまで来たわけだし。
「なぁに、私に遠慮してたの? ちゃんと言ってよね」
奈央は明るく言ってくれて、少し気持ちが軽くなる。
「だよね……、なんか言いにくくて、ごめん」
「謝る必要なんてないよー。かっこいいってミーハー的な感じだったから。本気で好きなわけじゃないし、気にしないで」
奈央はあははと私の肩をたたいた。そうだったんだ。奈央、本気で好きなわけじゃないんだ。それなら、私が爽にいちゃんを好きでも大丈夫か。
新しくできた友達と、気まずいことにならなくて本当によかった。ほっと胸をなでおろす。
「で、でもどうして気が付いたの。私が爽にいちゃんを好きって」
「千里、真っ赤になってて分かりやすすぎ」
「えぇ、そんな分かりやすいかなー」
「うん。千里って、そういうところが子どもみたいで可愛いよね」
子どもって。また気にしてることを言われてしまった。
涼介だけじゃなく、奈央までそんなこと言う?
がっくりする。私って本当に子どもっぽいんだろうな。
爽にいちゃんも直接は言わないけど、私のこと子どもっぽいって思ってるんだろう。特に、今日みたいに大人っぽい恰好した奈央と並んでいたら。
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