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 駅前のドラッグストアに行くことにした。 「安くていいものが色々あるんだよー」  奈央の言う通り、品ぞろえが多くて、見ているだけでわくわくする。 「ね、これは?」  私は赤いチークを指さした。 「うーん。千里には、こっちのほうが似合うかも。この薄いピンク」  奈央が選んでくれたチークをそっとほおにのせてみる。鏡を見てみると、一気に顔色が明るくなった気がした。 「わ、なんかこれだけで違うね」 「でしょー。あとは、そうだな。これとこれっ」  手際よく、奈央はグロスとマスカラも選んでくれた。グロスで唇をつやつやにして、まつげも黒く長くすると、一気にお姉さんっぽくなる。 「大人っぽく、なったかな」 「うん、なったなった。可愛いよ」  奈央に乗せられて、試したものを全部買った。メイクをしたまま、ドラッグストアを出る。 「こうしてたら、なんか高校生って感じ。ありがと、奈央」 「メイクの仕方、ユーチューブとかでも研究したらいいよ」 「そっか!  わかった。意外とまだ時間あるね。これからどうしよっか……」   どこか休憩できるカフェでもないか見渡すと、同じ制服を身につけた集団が目についた。女の子数人と、男の子が少し。
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