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カラオケに入って、それぞれフリードリンクを取りに行ったとき、やっと涼介が声をかけてきた。
「何、その顔」
「え?」
そういえば、化粧をしたままだったんだ。ちょっと恥ずかしい。思わず顔に手をやる。
「どうかな……?」
いつも子どもっぽいってバカにしてくる涼介。でも今日は褒めてくれるかもしれない。
「変。似合わない」
涼介はばっさりそう言うと、さっさと部屋に戻ろうとする。
「何なの、その言い方」
むかついて、背中に向かってストローの袋を投げつけた。涼介はちょっと振り返って、ひらひらと舞い落ちた袋を拾うと、ため息をついて、何も言わずに戻っていく。
しばらくしてから、腹が立ったまま部屋に戻ると、涼介はもう席についていた。女の子に囲まれている。
涼介はこっちを見ようともせずに、女の子たちが「何の曲が好き?」と聞くのに笑顔で答えていた。
その子たちだって、化粧してるじゃん。私よりも全然ハデで、仲良くなれそうにないタイプだなと勝手に思う。
それなのに、涼介ってば、でれでれ感じよく振舞っちゃってさ。
涼介は本当は不愛想でいじわるなやつなんだよって、女の子たちにばらしたくなってくる。
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