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私が座った席には、右手に奈央、左手に同じクラスだけど、話したことがない男の子が座っていた。 「えっと、島袋さんと、江藤さんだよね。俺は三宅」  男の子はほほえむ。細めの目が、少しだけ爽にいちゃんに似てるかなぁ。爽にいちゃんの方がかっこいいけど。 こっそり考えていると、奈央は「私のことは奈央でいいよー」と軽く返した。 「そっか、じゃあ、奈央ちゃんと……」 「あ、千里、です」 「千里ちゃんね!」  知らない間に名前で呼ばれることになってしまった。まぁ、いっか。 「千里ちゃんはどんな曲聴くの」 三宅くんは、どんどん話しかけてくる。 「えっと、エルブルーとかかな」  爽にいちゃんが教えてくれたバンドだ。爽にいちゃんが好きなものは、何でも真似するようにしていた。 「エルブルーいいよね、俺も好きー」  三宅くんとはなんだか気が合いそう。私もにっこり笑い返した。
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