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「飲み物取りに行く?」
三宅くんと私は、いつの間にか歌うことそっちのけで、エルブルーの歌詞や新曲の話で盛り上がっていた。
言われて、空になったグラスに気が付く。
「そうだね」
ドリンクバーに二人で向かった。
「千里ちゃん、学校となんか違う感じだね。あ、化粧してるのか」
三宅くんに顔をのぞきこまれて、私はうつむいた。
「変だよね。さっき、他の人に、似合わないって言われちゃった」
涼介に言われた言葉を思い出す。
三宅くんは驚いたように「そんなことない、きれいだよ!」とほめてくれた。
きれいって。ほんとうかな?
そんなことを男の子に言われたのは、初めてだった。
爽にいちゃんにもそう言ってもらえたらな。少し、目元が爽にいちゃんに似ている三宅くんをじっと見つめた。
三宅くんも、なぜかじっと私を見つめ返していた。
そっと、腕をつかまれる。なんだろう? ぼうっと考えていると、「何してんの」と声がした。振り返ると涼介が立っている。
「あ、城屋。えぇっと。俺、じゃあ先に戻るね」
三宅くんは、涼介を見ると、ぱっと私の腕を離して部屋に戻ってしまった。
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