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「千里。何してたの」  涼介はむすっとした顔で、私を睨んだ。 「別に何も。ドリンク取りに来ただけ」 「まだグラス空じゃん」  言われたとおり、私のグラスはまだ空のままだ。はっとして、ジュースを入れる。オレンジ色の液体がジャワジャワとグラスに注がれていく間も、涼介はそばを離れていこうとしなかった。 「あ、涼介もジュースほしかった?」  聞くと、「ばか、違うよ」と怒られる。 「千里、男にちょっとちやほやされたからって、いい気になるなよ」  涼介はそう続けた。 「え? いい気になんてなってないって」  なんで涼介はわざわざ私につっかかってくるんだろう。クラスの男の子としゃべっていただけで、何でそんなに言われなきゃいけないの。そんなに私のこと嫌いなの? 涼介は怒っているみたいだった。 「千里は全然分かってない。隙がありすぎる」 「何それ。隙なんてない」 「ある。だいたい、千里は爽にいが好きなんじゃなかったのかよ」 「そうだよ」 「だったら、爽にいだけ見てりゃいいんだよ、一生片思いしてろよ!」 「どうして涼介にそんなこと言われなきゃいけないの? 爽にいちゃんとのことだって、私は本気で悩んでるのに、一生片思い、とか。そんなひどいこと」  私は思わず泣き出してしまった。涼介はただ隣で、立ち尽くしているだけで、それ以上は何も言わなかった。
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