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 しばらくして、爽にいちゃんと美紀おばさんが家にやってきた。その後ろに、涼介も気まずそうに立っている。 「さぁ座ってー」  お母さんは上機嫌に三人をリビングに通した。  私と涼介は、お互いを見ることなくもくもくとお寿司を食べていく。私たちの様子にお母さんたちはおしゃべりに夢中で気が付かなかった。  そんな私に、爽にいちゃんが気をきかせたのか、話しかけてくれた。 「千里ちゃん、学校はどう。島袋さんの他にも友達できた?」 「え……うん」  今日の出来事を思い出していたら、上の空な返事になってしまった。 「どうしたの? 何かあった?」 「ううん、何でもないよ!」  無理に笑顔を作った。 「ならいいけど。何かあったら相談してね」  爽にいちゃんはいつも優しい。涙がまた出てきそうなのを頑張ってこらえた。 「涼介はどうなんだ、学校」 「別にぃ」  涼介はいつものように、興味なさそうに答えた。 「涼介はいつもこの調子だよな」  爽にいちゃんは肩をすくめた。 「そういえばこいつ、居眠りして椅子から落ちてたんだよ」  くすくすと爽にいちゃんがお母さんたちに言うと、美紀おばさんが「あら」と顔を向けた。 「涼介、そんなのだめでしょう。ちゃんとしなくちゃ」  はぁ、と涼介は黙ったまま、小さくため息をついた。 「この子はもう! なんとか言いなさい!」  涼介は「はいはい」と冷めた返事をしただけだった。
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