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過 去

　その日私は、座敷でブロック遊びをしていました。

　座敷は６畳間で、中央のテーブルでは母親が帳簿に何やら書き物をしていました。

　私はまだ３歳くらいだったでしょうか？

　ブロック遊びに飽きてきた私は、隣の座敷ある箪笥の引き出しを１段ずつ開けて、階段状にしようと試みました。

　しかし下の段が短く、上の段にいくほど長くなってしまい、なかなか階段状になってくれません。

　母親は一時の間、トイレへと行っていました。

　上の段の引き出しを出しているとき、ガタっと箪笥が前のめりに傾きました。

　私はその拍子に後ろへ尻餅をつき、箪笥の正面に倒れました。

　箪笥はバランスを崩し、私に向かって倒れ込んできました。

「うわー！こわれるー！」
　私は大声で叫びました。

　トイレで用を済ませた母親が、一目散に私の元へ駆けよってきました。

　幸い箪笥は私に倒れることなく、そこに踏みとどまっていました。

　一番下の段を途中まで引き出していたのが、功を奏しました。