灯りの奥に

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ほの明るい提灯立ち並ぶ町並みをひとりで歩いていると、何とも言い難い高揚感に襲われる。 時刻は誰もが寝静まる丑三つ時。 私はカランコロンと下駄を鳴らしながら只ひたすらに街道を進み行く。 鮮血で染め上げたような色を基調とした着物に肩口あたりで揃えられた短髪は、中性的な顔立ちも相まってどこか妖艶ささえ醸し出す。 改めて着物を見つめるようにして俯く。 カラン、コロン カランコロン… 「ふふふ」 堪えきれずに笑ってしまう。 その、なにがおかしいといったら私の下駄の音が高く響くのを、私以外の何人も聞いていないことが可笑しかった。そう思うと常より、些か間抜けにも聴こえるとふと思った。
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