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「御霊谷、ちょっといいか?」
ホームルームを終えると、担任が見計らったように声をかけてきた。
「……?」
一週間連続で学校に行かないなんて、実嗣にとってはざらなので、それで呼ばれたとは考えにくい。一体何の用だろうか?
それでなくとも今朝は叶利がパスケースを落としてくれたせいで、朝からバタバタして気分が良くないのだ。これ以上の面倒はご免だった。
訝りながらも手招きされるままに教室の外へ出る実嗣を、クラスメートたちが腫れ物に触るような目で見送る。御霊谷のやつ、また何かやらかしたのか? そんな雰囲気で――。
別に今まで他人に危害を加えるような真似をしたつもりはないが、実嗣、余りの欠席の多さに実は留年しているのだ。
年齢からいけばクラスメートたちよりひとつ年上。おまけに怖そうに見える(らしい)三白眼に、つっけんどんな態度。誤解されても仕方ないと自分でも自覚している。しているけれど「それは違う」と説いて回るのも正直面倒臭かった。
結局人間なんて多かれ少なかれ個々人の先入観で他者を見ているところがあるのだ。それに対してとやかく言うつもりはない。
ありのままの自分を見て、理解してくれる人間がほんの少しいてくれたらそれでいいんじゃねぇか?
いつもの癖で、またよそ事を考えてしまっていた。
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