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「まだ何か?」
「じゃあさ、じゃあさ、君ってどんな男になら興味があるわけ?」
男は少々ムキになっている。
まるで僕が悪いみたいに。
普通はIT企業とやらを経営している男には
みな良い反応を示すものなんだろうか。
「そうだな、僕は昔ながらのものが好きだから――クラッシックホテルの経営者なんかがいいや」
僕の答えに男たちは声を上げて笑い出した。
「ホテル経営だって?やめときなよ、時代遅れだ」
「時代遅れ?」
「それにクラシックホテルの跡継ぎなんて、冴えない二世に決まってるぜ?」
「冴えないって?」
「ほら、例えばあんなだよ――」
男の仲間が底意地の悪そうな顔で
ビュッフェでパンチをこぼしてアワアワしている禿げ頭の小男を見て笑った。
「彼なら物理学の権威で次期のノーベル賞候補だよ」
そこにゆっくりと現れた
僕の時代遅れで冴えない二世が――。
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