episode255 愛を貪り食うもの

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その呼び名通り 赤子をあやす様に腕の中で僕の事を軽く揺する。 「和樹ごめんね」 「どうして謝るの?」 驚いた。 「僕がもっと君が求めるものを与えられる男であったらいいのに」 この人は本気だ。 「今回改めて思ったんだ――僕が君に与えられるものなんて愛情の押し売りと物理的な充足感、それから?たいしたものないなって」 否定する隙も与えず九条さんは続ける。 「君が足りないと言うのは当然だ。比べたくはないが征司くんは――彼は持ってるんだよ。言葉にするのは難しいけど、もっとエモーショナルな君が求める何か」 エモーショナルな何か? それを言うならクレイジーな何かの間違いだろう。 「だから?だから君は僕をもう誘わないつもりなの?」 僕はあえてそっけなく尋ねた。 もちろんそんなつもりじゃ困るけど――。
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