episode255 愛を貪り食うもの

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僕らの後ろをパーティーのゲストが通り過ぎてゆく。 僕らは何気なく距離を取り仕切りなおしだ。 「僕が求める物をあなたが持っていないとは思えないよ」 誰もいなくなるのを見計らって 僕は誘い込むように九条さんのネクタイを引き寄せた。 「言っとくけどあなたのダーティーな部分は誰にも負けてないんだから」 その美しい唇すれすれに囁くと コクリと小さく彼は喉を鳴らした。 「あなただって本当は分かっているでしょう?」 「僕が……何を?」 「謙遜するフリはやめて。僕が欲しいなら本気で捕まえに来てよ」 それだけ言って背を向ける。 後はそう――。 「先に駐車場で待っててくれないか?挨拶を済ませたらすぐに行くから」 「分かった」 慎重派の王子様に火をつけて待つだけだ。
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