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僕らの後ろをパーティーのゲストが通り過ぎてゆく。
僕らは何気なく距離を取り仕切りなおしだ。
「僕が求める物をあなたが持っていないとは思えないよ」
誰もいなくなるのを見計らって
僕は誘い込むように九条さんのネクタイを引き寄せた。
「言っとくけどあなたのダーティーな部分は誰にも負けてないんだから」
その美しい唇すれすれに囁くと
コクリと小さく彼は喉を鳴らした。
「あなただって本当は分かっているでしょう?」
「僕が……何を?」
「謙遜するフリはやめて。僕が欲しいなら本気で捕まえに来てよ」
それだけ言って背を向ける。
後はそう――。
「先に駐車場で待っててくれないか?挨拶を済ませたらすぐに行くから」
「分かった」
慎重派の王子様に火をつけて待つだけだ。
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