結婚相手に求めるもの

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 後の2通は茉紀と千尋ちゃんだった。 〔さっきはありがとう! 彼のことは何というか残念だけど、またどうなったか教えて〕  茉紀は、真剣に私の話を聞いてくれたのだが、今後の展開に関しては好奇心の方が勝っているように見えた。 〔まどかさん、お疲れ様です。大塚さんの二次会ってどうします?〕  千尋ちゃんからは、今度の結婚式の二次会に参加するかしないかを問うものだった。私は、参加しない旨を綴って送り、茉紀の方にはまた報告すると返信をした。  さて、雅臣はどうしたものか。完全に無視した状態になってるしな。そうは思うものの、故意的にそうしたわけではない。私は適当に文章を書いて送ることにした。 〔返信遅くなってごめんね。昨日早番で疲れちゃってたから、帰ってきてすぐ寝たら夜眠れなくなっちゃってさ。茉紀の家から帰ってきたら眠すぎてずっと寝ちゃってたみたい〕  ちょっと嘘だけど、ちょっと本当。少しくらい本当のとこを入れておいた方が、嘘はバレにくい。これでよし、そう思った瞬間すぐに既読がついた。  はやっ! 起きてたんかい! そう思っている内に電話がなった。雅臣からだ。電話は嫌なんだけどなぁ……なんて思いながら仕方なく通話ボタンを押した。 「もしもし? まだ起きてたの?」 「うん、心配してたから」 「そっか、ごめん。ライン読んだ? 今ままで寝ちゃってたみたい」 「電話もラインも気付かずに? ずっと寝てたの?」 「うん。麗夢が起きちゃったからスマホの音切ってたの。だから連絡きてたのも気付かなかった。早番2連勤だったから疲れてたのかな。久しぶりに12時間くらい寝ちゃったよ」  そのことについては自分でも驚いている。思わず笑ってしまったところ、雅臣は「12時間ってすごいね。俺もそんなに寝たことないよ」とつられて笑った。 「そうだよね。いつも目覚ましかけて寝るからさ、かけないとこんなに寝れるんだって驚いてる」 「そっか。何かあったんじゃないかって心配してたんだ」 「ううん、そうじゃないの。心配するようなことは何もないよ。眠ったらすごくスッキリした」 「それならよかった」 「臣くん、明日も早いんでしょ? あ、もう今日か」 「うん。まどかの声も聞けたし、そろそろ寝るよ」 「うん、おやすみ」 「おやすみ」  至って穏やかな声だった。12時間眠ってしまったことについては疑問をもたないのか。もたれたところで事実なのだから仕方がないのだけれど。  浮気がバレて私が怒って連絡しなかったと思っていたのだろうか。どこかほっとした様子の雅臣の声。何事もなく会話が終了したことにほっとしたのは私も同じだった。
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