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「誰にも言わないでくださいよ? ちょっと恥ずかしいので……」
「うん、言わないよ」
「高校からの彼だってことは知ってましたよね?」
「うん」
「彼、1個上なんですけど、私は短大に進んで、彼は大学にいったんです。離ればなれになっちゃって、大学には女の子もたくさんいるし、なんか嫌で私は彼が大学卒業したらすぐにでも結婚したかったんです」
「そっか……。今7年目って言ってたもんね? それなら結婚したいよね」
「はい。でも、仕事が慣れるまでは無理って言われて、仕事に就いたら就いたで忙しいから無理って言われて全然話が進まなかったんです」
「あー……うちみたいなもんだね」
「はい。だから、一さんには言ってもいいかなって思って」
「そっか。それで? あ、食べながらでいいよ」
お弁当を広げようとしていた大塚さんは、手を止めて私との会話を始めたため、食事を促した。私も、出勤前に購入したコンビニ弁当を電子レンジに入れながら、彼女の言葉に耳を傾けた。
「ありがとうございます。それで……なんか忙しいとか、慣れるまでとか言い訳みたいに聞こえてきちゃって、今年中に結婚しないなら別れるって言ったんです」
「大塚さんが!? 全然イメージ湧かないけど」
「そうですか? 何かもうはっきりしないのが苛々してきちゃって。結婚するか、別れるか決めてって言ったら、じゃあ結婚するって言われました。じゃあって言い方が渋々みたいで納得はできてませんでしたけど、次の日には婚姻届けもらいにいって、自分の欄を書いて彼に渡しました」
「大塚さん、意外と行動力あるね……」
「はい。そこまでしたら観念したのかじゃあとりあえず挨拶行こうって言ってくれて、その月の月末にはお互いの両親に挨拶を済ませて、その週の土日で指輪を買いに行きました」
「一緒に行ったの!?」
「はい! 行くよ! って言って連れていきました」
ショートボブのナチュラルブラウンの髪がふわりと揺れて、満面の笑みの彼女が眩しかった。
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